2014年1月7日火曜日

第六幕 最強のふたり 

「最強のふたり」は2011年公開のフランス映画。エリック・トレビノ、オリビエ・ナカシュ監督。
日本でも興行収入16億円と、フランス映画では異例のヒットとなりました。

主人公は富豪のフィリップ(フランソワ・クリュゼ)と、貧困層出身の黒人青年ドリス(オマール・シー)。フランスは日本以上の格差社会。出身階層によって居住環境から教育まで、なにもかもが異なるといわれています。

フィリップは有り余るほどのお金持ちですが、幸せとはいえません。事故によって頚椎損傷の重傷を負い、体の自由がまったくきかないのです。
一方のドリスも、幼い兄弟がいるというのに、定職にもありつくことができません。そして実の親さえ知らないのです。恵まれない境遇への苛立ちから、すぐに非行に走ってしまいます。

まったく住む世界の違う二人が出会ったのは、フィリップが介護者を募集したから。
フィリップに採用された介護人は、彼の気難しさを嫌って、すぐに去っていくのが常でした。運よく採用されたドリスですが、最初のうちは真面目に働こうとしません。彼が仕事につこうとしたのも、保護観察の一環だったのです。底抜けに陽気で、体力はあるものの、介護のイロハすら知りません。

二人の関係は月とスッポン。
これまでの介護人と同じように、いつ解雇されても不思議はありません。
ところが、そうはなりませんでした。

明るさだけがとりえのドリスは、フィリップの孤独に気づいたのです。
近寄ってくるのは、彼の財産目当ての人間ばかり。妻を亡くして、家族は年頃の娘だけ。
一方のフィリップも、ドリスのおかれた複雑な家庭環境を知ることになります。

「最強のふたり」の画像1

富はあるものの体の自由がきかないフィリップ。
体は頑丈でも富のないドリス。

教養はあっても、あるべき姿を求めて行動に自己規制をかけるフィリップ。
教育はなくとも本能のままに生きるドリス。

金目当ての取り巻きのせいで警戒心を深めるフィリップ。
財産になんて目もくれないドリス。

二人は互い欠落を埋めるように、雇用者と被雇用者という関係を超えて交友を深めます。
とはいえ、二人の友情は清らかなばかりではありません。ドリスはフィリップに、快楽の扉を押し広げます。夜遊び。ドラッグ。そして性欲。

フィリップは文通相手との交際に踏み切れないでいました。
亡き妻への思い。そして体の不自由な自分が受け入れられるのかという不安。
富と教養があるゆえ、恋する人にまで壁を築いてしまうのです。

ドリスにはそんな生き方は理解できません。
そして親友フィリップの壁を取り払ってやりたいと願います。そしてラスト。フィリップと文通相手が顔を合わせる段取りをすべて整えて、介護人としての役割を終えます。

これが映画のお話ではなく、実話であることが驚き。
冒頭、二人の乗ったスポーツカーが真夜中のパリを疾走するシーンが印象的。
障害をめぐる映画であっても、説教くさいところがなく、スピーディーに物語が展開していきます。

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