2014年9月21日日曜日

第二十幕 ウルフ・オブ・ウォールストリート

「ウルフ・オブ・ウォールストリート」は2013年のアメリカ映画。元証券ブローカー、ジョーダン・ベルフォートの実話が原作となっています。

監督は社会派マーティン・スコセッシ。主演はレオナルド・ディカプリオ。
金融界を舞台にした、オリバー・ストーン監督作品「ウォール街」と続編「ウォールストリート」と同様、ウルフ・オブ・ウォールストリートの主人公ジョーダンも違法行為によって暴利を稼ぎ、そして破滅を招きます。

一方で両作品の違いは、前者がゴードン・ゲッコーの強欲と狡猾さに焦点が絞られているのに対して、後者がドラッグとセックスの描写に満ち満ちていること、でしょうか。

会社で、飛行機で、車で。
ウルフ・オブ・ウォールストリートでは、ありとあらゆるところで、これでもかといった具合に乱痴気騒ぎが繰り広げられます。

もともとは金融業界で働くストレスをまぎらわすため、そうした行為に手を染めたはず。ところがしだいに、薬と性を得るために働くのか、境界がわからなくなってしまいます。
あまりに強い薬物を服用し続けた結果、体の自由がきかなくなるシーンが幾度も繰り広がれらるのですが、ディカプリオらの演技は本物の中毒者と見まがうほどです。



違法な証券取引によって富豪となったジョーダンは、クルーザー(もともとはココ・シャネルのため建造されたとか)を購入します。船に命名されたのは美しき再婚相手の名。成金趣味のなせる業なのか、薬物によって正常な判断力を失ったせいなのか。

さて作品の終盤、悪の限りを尽くして貯めたスイス銀行の預金に危機が訪れます。
現金の運び屋だった妻のおばが、急死してしまったのです。預金の名義はおばのまま。ジョーダンに贈与するという遺言は残されていませんでした。

その一報を受け取ったのはエーゲ海でのバカンス中。
ジョーダンはフランスのモナコまで航海するよう船長に命じます。モナコからスイスに飛んで遺言書を偽造するためでした。薬物で判断力を失っている彼は、「海がしける」という船長の反対を押し切って出発します。ところが、船長の予想通り海は大荒れとなり、船は転覆の危機を迎えます。ジョーダンら一行は、死を覚悟したもの、この期に及んでも薬物を手放しません。

ところがイタリア海軍特殊部隊のヘリに救われるのです。
沈み行く船をよそに、ジョーダンらは救助されたヘリの機上で再び乱痴気騒ぎをはじめます。まったく、どうしようもない人たちです。狂っているとしかいいようがありませんが、これは作り話ではなく、実話なのです。

ジョーダンの儲けの手口は、上昇の見込みのないペニー株を顧客に売りつけ、高い手数料を取るというものでした。証券詐欺や資金洗浄などによって逮捕された後、下された命令は1億1040万ドルの返済。ジョーダンは出所後、著作や講演活動によって収益を得たものの、それでも個人で返しきれる額ではありません。

しかしながら、これだけの罪を犯しているというのに、このジョーダン、どこか憎めません。

なぜなのか。
それは彼らが常人では到底できない欲望を尽くしてきた、からではないでしょうか。
そして欲望の限りを尽くしたなれの果ても示してくれたのです。

神様が彼に悪運を授けたのもそのためかもしれません。

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