2014年10月21日火曜日

第二十六幕 ダラス・バイヤーズクラブ

「ダラス・バイヤーズクラブ」は2013年公開のアメリカ映画。ジャン=マルク・バレ監督、マシュー・マコノヒー主演。アカデミー賞主演男優賞受賞。

HIVに感染したカウボーイ、ロン・ウッドルーフ(マシュー・マコノヒー)の実話が題材。ではあるものの、HIVをテーマにした同種の映画とは、やや趣を異にしています。余命1ヶ月を宣告されたロン自身が、治療のため未承認薬を大量に密輸。その薬によって七年も延命。あまった薬はほかの患者に売りさばく「ダラス・バイヤーズクラブ」を設立してしまった。正確には薬は会員料と引き換えなのですが、もちろん非合法です。

ロンはあるときは神父に、あるときはビジネスマンに変装して、世界各国から未承認薬を大量に密輸します。はじめはメキシコ。日本やヨーロッパまで。

ロンが闘病していた1980年代当時、HIVに感染するのは同性愛者や両性愛者とみられていました。ロンをはじめ、友人たちはゲイを激しく嫌い、差別していました。その彼自身が感染してしまったのです。ロンの感染経路は、ドラッグを注射していた女性との性行為でした。それでも友人たちは離れてゆき、ロンも自身の運命を呪います。

ロンはHIV患者の救い主となろうとしたのではありません。もともとの動機は自らの延命のため。ほかの患者に未承認薬を譲ろうとしたのも、当初は商売目的。会員料を支払えない希望者には、断固として入会を認めようとはしませんでした。


「ダラス・バイヤーズクラブ」の画像2


そんな「地獄の沙汰も金次第」を地でゆくロンを変えたのは、病院で知り合ったHIV患者のレイヨン(ジャレド・レト)との出会い。ダラス・バイヤーズクラブのパートナーとなったレイヨンはトランスジェンダー。当初は彼を蔑ずんでいたロンも、しだいに友人として認めるようになります。

ところがレイヨンはHIVの進行のため亡くなってしまいます。

レイヨンのあっけない死に衝撃を受けるロン。HIVに有効な未承認薬のひとつであるとされたAZTは、副作用もあり、治験目的でしか病院で投与されていませんでした。もしも、それらの薬が処方されていれば、レイヨンはもっと長く生きられたかもしれない-。そう考えたロンは、利益を度外視して会員料の支払えないHIV患者にまで未承認薬を渡すようになります。

そしてダラス・バイヤーズクラブをつぶそうとする国を相手取って、未承認薬の使用を認めるよう裁判を起こします。判決は彼に限って、AZTの使用を許可するというもの。その主張は一部しか認められなかったとはいえ、閉ざされていたドアはわずかに開かれたのです。

ロンは同性愛を認めないマッチョ思考のカウボーイ。
自らがHIVに感染したことなど受け入れたくもなく、HIV患者への同情もありませんでした。
未承認薬の密輸も、彼自身の延命のためという利己的な動機。

レイヨンとの出会いによって、仲間のため変わりゆくロン。
そして激しい減量によってHIV患者になりきったマコノヒーとレトの怪演も見所のひとつとなっています。







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